「終活」という言葉が一般化するようになった現在、若い世代でも終活に取り組もうとする人は多くいます。
今回はそのなかで、「30代の独身女性の終活」について考えていきましょう。
30代の終活は、「今後結婚するか、それともしないか」でも大きく異なる
30代の独身女性の終活は、「結婚する予定があるか、それともないか」によって異なります。
男女共同参画局が出したデータでは、「令和2年の女性の初婚年齢は29.4歳である。結婚する女性がもっとも多いのは26歳であり、中央値は27~28歳である。また、26歳をピークに結婚する人の数は徐々に減っていくが、30を超えてから結婚する人も多く、36歳で結婚する人の数は22歳で結婚する人とほぼ同数である」と示されています。初婚年齢が38歳の人も、5000人程度います。
終活の方法ややるべきことは、「結婚しているか、結婚していないか」で大きく違います。たとえば現在まだ独身であっても、結婚する予定があるもしくは結婚のために動いていて成婚する可能性が高いという人と、結婚する予定がなく結婚する気もないという人では、行うべき終活は異なってくるのです。
ここではこのことを前提としたうえで、後者の方に焦点をあててお話していきましょう。
出典:庵所共同参画局:男女共同参画白書令和4年版 コラム1 (図2)年齢別初婚件数(令和2(2020)年)
30代の独身女性が行うべき終活の内容
終活は、「残された自分の人生を、よりよくより自分らしく生きていくために行うもの」であり、多くの場合、財産をだれに残すのか終末期医療はどうするのかなどをテーマにします。
しかし30代の独身女性の場合は、人生はまだまだ長いので、
「最後を意識しつつ、資産形成などをしながら、資産状況をまとめる」
という方向で考えていくとよいでしょう。
30代の独身女性が行いたい終活は以下の通りです。
- 老後にかかる費用を算出する
- 今から体力・精神力・判断力が低下したときのことを考える
- 「1年以上使っていないアイテム」を捨てる
- デジタルサービスのいる・いらないの判断を行う
- お墓はこの段階で買うのも良し
- 「老後にやりたいこと」を考える
ひとつずつ見ていきましょう。
1.老後にかかる費用を算出する
30代の独身女性の終活は、まずは老後にかかる費用の算出から行いましょう。
総務省統計局が出した「家計調査報告〔家計収支編〕2022年(令和4年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の単身無職世帯で1か月の生活をするうえで必要になる金額は、155,495円ということでした。ただしそのうちの134.915円は社会保険などでまかなわれますから、不足分は20,580円となります。
日本人の女性の平均寿命が87歳であるため、22年×20,581円×12か月=5,433,384円が必要になります。
65歳までにこの金額を貯めるためには、
- 30歳→毎年155,234円、毎月12,936円の貯金が必要
- 35歳→毎年181,113円、毎月15.093円の貯金が必要
- 39歳→毎年208,976円、毎月17,415円の貯金が必要
ということになります。
もちろんこれは一例です。65歳を過ぎてからも働き続ける人もいますし、かかる費用がもっと少ない人や、引き継ぐ財産がある人もいるでしょう。
ただ、自分の経済状況を踏まえたうえで、「貯めなければならない金額」をしっかり考えていくことが30代の独身女性の終活には求められます。
出典:総務省統計局:家計調査報告〔家計収支編〕2022年(令和4年)平均結果の概要 p18
2.今から体力・精神力・判断力が低下したときのことを考える
人によって体力・精神力・判断力が落ちるタイミングは異なります。しかし36歳~44歳ごろでがくりと体力が落ちる人は多く見られます。日本では昔から「厄年」の考え方がありましたが、この厄年とは、「環境や体調の変化が見られる時期なので、注意して過ごすように」という警告であったともいわれています。そして女性の厄年は、まさに36歳(前厄)・37歳(本厄)・38歳(後厄)です。
30代前半の人は「これからの5年で、がっくり体力が落ちるかもしれない」と考え、30代後半の人は「体力が落ちてしまったし、今後も体力はより落ちていくだろうから、今のうちに動こう」と考えるべきです。
3.「1年以上使っていないアイテム」を捨てる
終活はしばしば、「断捨離」という言葉と結び付けられます。高齢期における断捨離は、「自分の身の回りの物、絶対に捨ててはいけないものだけを残してそれ以外の物を可能な限り捨てる」というかたちで行うのが効率が良いとされています。
ただ30代の独身女性の場合、これから先もまだ物は増えていくことが考えられます。また仕事に使う物や、おしゃれに使う物もたくさん持っておきたい年齢でしょう。そのため、「必要なもの以外は捨てる」というかたちでの断捨離はまだ現実的ではありません。
そのため、「1年以上使っていない物」「ときめかない物」を中心に処分していくことを考えるとよいでしょう。「必要な物を残す」という厳しい選定をしなくても、「いらない物を捨てる」とするだけで、心も部屋もすっきりします。
4.デジタルサービスのいる・いらないの判断を行う
今やデジタルサービスの利用は当たり前です。複数のサブスクを利用したり、複数のSNSアカウントを利用したりする人も多いことでしょう。また、ネットバンキングを便利に使っている人も多いと思われます。
これも、3で取り上げた「断捨離」と同じで、30代の独身女性の場合は「必要なもの以外は解約する」ではなく、「不要なものを解約する」という考え方の方がよいでしょう。
類似のほかのサービスに加入したサービスがあれば、以前使っていたサービスは解約します。また数年単位で発言していないSNSを削除したり、ずっとお金のやり取りをしていないネットバンキングなどはこの機会に整理しましょう。
5.お墓はこの段階で買うのも良し
30代の独身女性の終活は決して急いで行うべきものではありませんが、お墓やそれに類する埋葬場所(納骨堂や樹木葬霊園など。以下では「お墓」とまとめる)に関しては30代の段階で購入するのもひとつの手です。これらは選択肢によっては200万円程度の費用が必要になるものですし、気に入った墓地が売り切れになってしまう可能性も高いからです。
なおお墓や仏壇などは祭祀財産とされるため、極端に豪華なものでなければ、相続税の対象から省かれるのも利点です。さらにお墓を確保しておけば、残していく人(弟妹や、甥姪)がかけなければならない手間も少なくできます。
6.「老後にやりたいこと」を考える
終活とは、「死んだ後のことを託すためのもの」としての意味だけを持つものではありません。
自分の経済状況を把握し、自分の人生を振り返り、今後どう生きていくかを考えるためのものでもあります。
終活を行うときに、「老後に自分がやりたいこと」も考えておきましょう。「引退したら世界一周の旅行に行きたい」「今も登山をしているので、百名山を制覇したい」「70歳まで300冊の本を読みたい」などです。
30代の独身女性の終活は、「今後の自分」をより良く生きるための取組でもあるのです。
贈儀計画コラムでは、人生の儀式における皆さまの悩みをサポート致します。
葬儀・介護・相続・お墓・結婚などそれぞれの課題を、情勢に合わせ専門のサポートスタッフがいつでもご相談を承ります。まずはお気軽にご相談ください。
冠婚葬祭セリエンス(贈儀計画コラム運営企業)
電話番号:0120-34-5183 受付時間:9:00-17:00
インターネットでのお問い合わせは24時間承っております。