葬儀のときには、数多くの人から弔意を寄せられることになります。そのため、その都度その弔意に応えるべくお礼を申し上げたり、お礼状をしたためたりすることになります。ここでは「お礼状」に焦点を当てて、
- どんなときに、どんな相手に送るか
- 挨拶状のマナー
- その文例
について解説していきます。
挨拶状、どんなときにどんな相手にしたためる?
挨拶状は、葬儀に参列してくれた人や不祝儀・供物・供花・弔電などをくれた人に対して送るものです。送るタイミングと種類は、以下の通りです。
- 会葬御礼(即日返し)
- 葬儀後、訃報を知らせたい人に
- 葬儀後、供物・供花・弔電を寄せてくれた人に
- 葬儀の際に「お返し不要」で香典を寄せてくれた人に
それぞれみていきましょう。
会葬御礼(即日返し)
頂いた不祝儀のお返しは本来「頂いた金額の2分の1~3分の1程度の金額のものを、後日お渡しする」とされていました。しかし現在は「即日返し」というかたちで、通夜・葬儀当日に渡す場合もあります(この即日返しで返せる範囲はおおむね10000円程度までの額の場合でありそれ以上になる場合は、また後日香典返しを用意する必要があります)。また、地域によっては「参列してくれたこと自体への御礼として、香典返しとは別に会葬御礼を用意する」というところもあります。この即日返しの香典返しあるいは会葬御礼には、挨拶文を印刷したハガキを差し挟むのが一般的です。
葬儀後、訃報を知らせたい人に
現在は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行もあり、家族葬(残された家族が声を欠けた人だけが参列して行う葬儀)を選ぶ人も多くなってきました。しかしこのようなスタイルをとった場合でも、故人と仲が良かった人に対しては訃報を知らせる必要があります。
このような場合は「挨拶状」というかたちで、後日に「葬儀があったこと」を伝えるはがきを出します。なお、「訃報を別に出すほどの関係性ではないが、毎年年賀状をやりとりしていた」という人に対しては、喪中はがきで以ってお知らせしても失礼にはあたりません。
葬儀後、供物・供花・弔電を寄せてくれた人に
葬儀の際に、不祝儀だけでなく、供物・供花・弔電を寄せてくれた人もいることでしょう。このような人には、葬儀後にお礼の挨拶状を送ります。なお弔電に関しては物品でのお返しは必要ありませんが、供物・供花を寄せてくれた人には「香典返し」に相当するお返しをしなければなりません。
葬儀の際に「お返し不要」で香典を寄せてくれた人に
葬儀の際に頂いた不祝儀には、「香典返し」というかたちでお返しするのが原則です。
ただ、「不祝儀をもらったが、香典返しは不要と言われた」「故人の意向により、不祝儀は福祉団体などに寄付をするのでお返しはしない」「一家の大黒柱が亡くなったので、不祝儀は遺児の養育に使う」などの理由で、香典返しをしないこともあるでしょう。そのような場合は、お礼状をしたためて、香典返しの代わりとします。
挨拶状は手書き、それとも印刷? 「葬」にまつわる挨拶状のマナーとは
葬儀の挨拶状は、手書きにするべきなのか印刷にするべきなのかを考えていきましょう。結論から言えば、これは「どちらでも構わない」ということになります。葬儀の挨拶状の書き方のパターンは、大きく分けて以下の3つです。
決められた書式にのっとって印刷
現在はおそらくこのかたちが一般的であろうと思われます。葬儀会社などが一般的な文面に故人・喪主の氏名住所などをあてはめて印刷し、それを挨拶状とするものです。特に「即日返し(会葬御礼)」の場合は、時間的な制限も厳しいのでこのかたちが取るのが原則です(オリジナルの文面を作ることもできます)。もっとも楽な方法なので、「手間がかかるのはちょっと……」という人はこのやり方を選びましょう。
文章を自分で考えて印刷
「文面だけ自分で考えて、印刷はお願いする」という方法を使うこともできます。定型文の印刷と手書きの折衷案とも言うべき方法で、ある程度個性を出しながらも手書きの手間をかけなくてすむのがメリットです。
文章を自分で考えて手書き
もっとも丁寧なやり方です。非常に小規模な葬儀であったり家族葬であったりする場合は、この方法も取れます。特に供物・供花・弔電を寄せてくれた人に対するお礼でこの方法を選ぶ場合は、「その人がくれたものに言及できる」ということで、非常に温かみのある挨拶状になります。
「どの方法が正しくて、どの方法が間違い」といえるものではありませんから、そのときのご家族の気持ちや参列者の数、時間的余裕などを考えて、どの方法にするかを選んで行くとよいでしょう(※「自分で文面を考える」「自分で文章をしたためる」という場合は、早めに葬儀会社のスタッフに伝えてください)。なお、葬儀の挨拶状を書く場合は、原則として句読点(「、」「。」)は打ちません。「もとも句読点は文章を読みやすくするためのものであったため、これをつけるということは相手の読解力を疑っていることにつながる」「句読点を打たないことで、『滞りなく葬儀(や法要)が終わりました』という気持ちを示す」などがその理由と言われています。また、葬儀の挨拶状では「再び」「またまた」「たびたび」などのように、繰り返しになる言葉は使いません。この辺りのマナーは、葬儀の言葉遣いのマナーと同じですね。
お礼状の文例、実際に使えるものを紹介
ここからは、それぞれのときの挨拶状の例文について解説していきます。
会葬御礼(即日返し)
「父〇〇儀の通夜葬儀に際し 御多忙中ご参列賜りましたこと深くお礼申し上げます
生前に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げ 略儀となりますが暑中にてご挨拶差し上げます
通夜と告別式の日付
喪主の住所と名前
外 親戚一同」
葬儀後、訃報を知らせたい人に
「父 〇〇儀 〇月×日に▽歳にて急逝いたしました
葬儀は故人の希望に基づきまして(葬儀の日付)にて近親者のみで執り行いました
本来ならば直接御挨拶申し上ぐべきところ 恐縮ではございますが暑中にてお報せいたします
生前に賜りましたご厚情に深くお礼申し上げます
喪主の住所と名前」
葬儀後、供物・供花・弔電を寄せてくれた人に
「拝啓
父〇〇儀の葬儀に際しましては御多忙中ご参列賜り また御鄭重なる御厚志を賜りましたこと心より御礼申し上げます
頂戴しましたお供え 謹んでお受けし霊前に供えさせていただきました
生前故人に賜りましたご厚情に対して深く御礼申し上げますとともに残されました家族に対しましても変わらぬ御指導御鞭撻をよろしくお願い申し上げます
敬具
喪主の住所と名前」
葬儀の際に「お返し不要」で香典を寄せてくれた人に
「拝啓 早春の候 皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか
先日の故〇〇儀葬儀の折にはご多用中ご会葬いただきまたご厚志も賜りましたこと深く御礼申し上げます
頂戴しましたご厚志は故人の遺志に従いまして(福祉団体名など)に寄付させていただきましたことご報告申し上げます
本来は拝眉の上御礼申し上げるべきところ略儀ながら書中にて御礼の御挨拶と指せていただきます
今後とも故人の生前同様変わらぬ御厚誼の程よろしくお願い申し上げます
敬具
喪主の住所と名前」
ここで紹介した文例はほんの一例ですが、参考にしてみてくださいね。
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