悔いのない向き合い方をするために~「弔い直し」という選択肢

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人の死は不可逆のものであり、亡くなった人は二度と生き返ることはありません。このような絶対的な事実に向き合い、そしてその喪失を受け入れていくために、人は古代より葬送儀礼を用いて彼らを送り出してきました。葬送儀礼に対する解釈や考え方は人によって異なりますが、葬送儀礼というものは「亡くなった人に敬意と愛を捧げ、その行く末が安らかであることを祈るものであり、亡くなった人のために行うもの」であると同時に、「残された人間がその喪失を現実のものとして受け止め、明日を生きるための力にしようと願うものであり、残された人のために行うもの」でもあります。

ただ「二度と帰ることのない人を送り出すために行われるたった一回きりの儀式」が、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で満足にできなかったという人がいるのもまた事実です。そしてそのような人に寄り添うための選択肢として、「弔い直し(とむらいなおし)」があります。ここでは、「弔い直しとは何か」「弔い直しの選択肢」「弔い直しの持つ意味と、金額」について解説していきます。

「弔い直し」とは何か~大切な人の死にもう一度向き直すための儀式

弔い直し」とは、「亡くなった大切な人とのお別れの儀式において後悔を残した人が、後日改めて葬式などを行うこと」をいいます。この概念は非常に特殊なものであり、葬儀会社に勤めているスタッフであっても「一度も経験したことがない」という人が大半であろうかと思われます。葬儀は当然多額のお金がかかるものですし、人は時間が経つうちに大切な人の死を少しずつ受け入れていくものですから一度葬式を行った後に再度葬式を行うというやり方を取る人は、ごく少数です。例外として著名人が亡くなった場合などに、「最初の1回は家族だけでお見送りして、その後でファンの人などを受け入れてお別れの場を設ける」というやり方がとられる場合もありますが、これは極めてイレギュラーなものです。それなのになぜこの「弔い直し」というキーワードが注目されるようになったのでしょうか。

これには、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響があると考えられています。新型コロナウイルス(COVID-19)がしっかりと認識されたのは、2020年の1月ごろのことです。その後に緊急事態宣言が出されて自粛が呼びかけられるようになりました。多くの人が集まり、多くの人が棺の周りに寄り添い、そして多くの人が精進落としというかたちで会食を取るという性質を持つ葬儀の場は、この新型コロナウイルス(COVID-19)とも深い関わりがありました。葬儀によってクラスターが発生したということで、葬儀のあり方の見直しまでが求められるようになったのです。亡くなった人が新型コロナウイルス(COVID-19)に感染していた場合はもちろんのこと、たとえ新型コロナウイルス(COVID-19)由来ではない旅立ち理由であっても、「来てほしいのに来てもらいたい人に来てもらえない」「本人の希望よりもずっと小さくて簡略化された葬儀しかできなかった」という状況に陥る人が出てきたのです。

このような人の気持ちに寄り添い、残されたご家族が後悔のない葬儀を行ったと納得するための方法として、「弔い直し」に注目が集まっているのです。

弔い直し、その選択肢を考える

日本ではごく一部の特殊な事例を除き、亡くなった人は火葬にて見送られることになります。「死亡後〇日以内に火葬しなければならない」という規定はありませんが、基本的には亡くなってから3日程度以内、長くても1週間程度以内のなかで火葬されるでしょう。そのため、弔い直しの場合は「肉体を持った故人」とのお別れをすることはできないのです。

弔い直しの場合は、

  • 骨葬
  • お別れ会

のいずれかの選択肢が取られます。

骨葬」とは、火葬が終わった後に、骨壺や位牌を前に行う葬儀をいいます。なおこの骨葬は弔い直しに限らず、一般的な葬儀(亡くなってから2日後程度に通夜、その後に葬式・告別式を行うもの)の場合でもしばしば行われます。現在では主流から外れたやり方にはなっていますが、東北地方などでは今でもこの骨葬が行われています。葬儀のかたちは人によって異なりますが、骨葬の場合は、「一般的な葬儀」とほぼ同じ流れで葬儀が進行していきます。火葬と儀式の順番は逆にはなりますが、参列者は喪服を着て、ご僧侶などの宗教者を呼んで……というやり方を取ることになるのが基本です。

対して「お別れ会」は少し様子が異なります。もちろんこれも葬儀のようなかたちを取ることも可能ですが、一般的に「お別れ会」と言った場合は、葬儀に参加できなかった人を呼んで後日に行うものです。そのため、私たちが「葬儀」と聞いたときに思い浮かべる形式とは異なり、宗教者を呼ばずに行うことが比較的多いといえます。また、ホテルなどでパーティー形式で行われることもあります。

骨葬お別れ会も、「こちらの方が良い」「このような意向を持っているのであれば、こちらのやり方を選ばなければならない」というものではありません。ここでは2通りに分けてお話ししましたが、明確に線引きすることは難しいものです。骨葬に近いかたちのお別れ会もありますし、お別れ会に似たかたちの骨葬もあります。ただそれでもある程度分けて考えるとするならば、「葬式のやり方を決めていたのに、その形式を取れなかったのが心残りである」と思っている人には一般的な葬儀に近い形で行う骨葬の形式が、「周りの人にお別れを言えなかった・言ってもらえなかったのが心残りである」と考える人にはお別れ会の形式が向いている、とはいえるでしょう。

弔い直しの持つ意味と、出費について

多くの人に恐怖と混乱をもたらした新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威も、現在では多少落ち着きつつあります。そのなかで、「あの頃に抱いた後悔や不満点を解消しよう」とする弔い直しの考え方が生まれました。このような気持ちで弔い直しを行う場合、「二度目の後悔」が残らないようにするために、「自分はどのような点を不満に思っていたのか」を丁寧に洗い出すことが非常に重要になってきます。

  • お別れをしたいと言ってくれた人が大勢いたのに、その人たちを招けなかった
  • 多くの人にお見送りをしてほしかったのに、それがかなわなかった
  • 宗教への帰属意識が高い人だったのに、ご僧侶を呼べずに無宗教方式で見送ることになってしまった
  • 実の親が亡くなったときに妊娠中で、万が一のことがあっては……となり、出席することができなかった

などのようなケースが考えられるかと思います。いずれの場合であっても、「自分たちが悔やんでいる箇所」をしっかりと見つけ出すことが何よりも大切です。

なお、「弔い直し」には、費用がかかることを理解しておかなければなりません。一度葬儀を出した後にさらに弔い直しとして費用がかかるわけですから、予算繰りは慎重に行いましょう。また、弔い直しを行った経験がない葬儀会社も多いため、しっかりと打ち合わせを行うことも重要です。 

「人の死」に寄り添うために葬儀があり、そしてその葬儀の後悔をなくすために「弔い直し」という考え方があります。「あの時行った葬儀」に後悔がある人は、この弔い直しという選択肢を選んでみるのもよいのかもしれません。

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