亡き人を弔う~一周忌の意味と宗教による違いについて

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「一周忌」は、仏教の宗教行事のうちのひとつです。亡き人を思い行なわれるこの「一周忌」について、

  • 一周忌とはそもそもどのようなものか
  • 宗派や宗教による違い
  • コロナが一周忌に与えた影響
  • 一周忌の要点

について解説していきます。

一周忌とは、故人を供養するための仏教行事

一周忌」とは、仏教における追悼行事・追善供養のうちのひとつです。大切な人を見送り、初めてのお盆を迎えた後に訪れるもので、原則的には「その人が亡くなってから1年目の命日」に行なうことになります。なお「一周忌」と似た言葉である「一回忌」は「亡くなった日から1年経った日の当日」を指す言葉であり、本来は一周忌とは区別されます。ただし現在はこの2つを同じ意味で使うこともあります。

仏教には「喪に服す」という考え方があります。忌中の場合は旅行も控えるべきだとされていますし、喪中の場合も年賀状などは出しません。一般的に「忌中」は「故人が旅立ってから49日まで」、「喪中」は「故人が旅立ってから1年まで」を基本とします。このため、一周忌を迎えた段階で、忌中はもちろん喪中も明けたと考えるのが一般的です。

宗教・宗派による考え方の違い

すでに上でも述べたように、「一周忌」は仏教における追悼行事のうちのひとつです。それではほかの宗教・宗派ではこれをどのように捉えているのでしょうか。

【神道】

神道と仏教は、「神仏分離」の政策がとられるまでは、一体化して存在していました。そのため葬送儀礼においても、共通した部分が数多く見られます。「死後1年目に儀式を行なうこと」もまた、そのような共通した部分のうちのひとつです。

神道の場合は、故人が旅立ってから1年目を「一年祭」として宗教的儀式を執り行います。一年祭では、親戚や友人(知人レベルまで呼ぶこともある)を招いて、玉串奉奠などをします。なお神道では神社を「聖域」ととらえています。そのため、神社では葬送儀礼は行なえません。一年祭も会場となるのは自宅や会館、墓地などであり、神社が会場になることはありません。仏教の場合はお寺でも葬送儀礼(や一周忌)も行なえるため、これが神道と仏教の大きな違いだといえます。

【キリスト教】

キリスト教では、「亡くなった人は神の御許で永遠の安息を得る」という死生観をとります。そのため、仏教とは異なり、「供養」という概念はありません。このため、狭義の意味での「一周忌」にあたるものはキリスト教には存在しません

しかし実際には、「1年目に行なわれる追悼行事」はキリスト教にも存在します。カトリックの場合は「死者記念ミサ」と呼ばれるものが行なわれ、プロテスタントでは「(1年目の)記念集会」が行なわれます。仏教では一周忌を故人を供養するためのものととらえますが、キリスト教では神様の御許に行った記念日だととらえます。これは、この2つの宗教の大きな違いだといえるでしょう。

【浄土真宗】

「一周忌は、仏教における1年目の追悼行事である」「一周忌は、供養のために行なわれる仏教儀式である」としました。しかし仏教にはいくつかの宗派があり、それぞれで死生観が異なります。そのなかでも特徴的なのは、「浄土真宗」です。

浄土真宗では、「亡くなった方はすぐに仏になるのだ」と考えています。そのため、追善供養としての一周忌は必要としていません。つまり仏教であっても、浄土真宗では一周忌を行なう必要はないのです。ただ、浄土真宗では「一周忌は絶対にしてはいけないものである」とは考えていません。一周忌に追善供養としての意味はないとしつつも、「残されたご家族が仏教に親しみ、仏教について学ぶ機会である」ととらえています。そのため、浄土真宗であっても、一周忌を行うことには何の問題はありません。

一周忌はほぼすべてのご家庭が行ってきたが、コロナの影響はある

一周忌はそもそも宗教行事ですから、「行なわなければ法律上問題がある」と判断されるものではありません。ただ仏教を信じているご家庭の場合は、そのほとんどが一周忌は行なっているものと考えられます。一周忌はまだ故人が旅立ってから日も浅いときに行なわれるものであり、残された人たちが故人の思い出を語り合い、お互いの悲しみを慰め合うという意味もあるからです。現在は七回忌や十三回忌で「弔い上げ」として「これ以上の年忌法要は行なわない」とするご家庭も多く見られますが、一周忌を行なわないご家庭はほぼないでしょう。

もっとも、この「一周忌」も新型コロナウイルス(COVID-19、以下「コロナ」の表記に統一)の影響を受けています。現在は第5類に分類されるようになったコロナですが、感染拡大を防ぐ目的から、一周忌を自重したり、従来よりもこぢんまりしたかたちで行なったりするご家庭も増えてきています。このあたりに関しては、明確に正解・不正解があるものではありません。ご家族同士でよく話し合い、どのようなかたちで一周忌を行なうのか(あるいは行なわないのか)を考えていくとよいでしょう。

一周忌、ざっくり要点を把握しよう

ここからは、一周忌の概要についてざっくりと要点だけをお話していきます(詳しい解説は次回以降の記事で行ないます)。

  • 行われる会場
  • 呼ぶ人の範囲
  • 服装
  • 持っていくものにつける表書き
  • 香典の目安

ひとつずつ解説していきます。

行われる会場

お寺や法要会館、自宅などが選ばれます。なお自宅に関してはどうしても入れる数に限界があるため、自宅で一周忌を行なおうとする場合は収容可能人数についてよく考える必要があります。また、駐車場の確保も必須です。

呼ぶ人の範囲

明確に決まっているわけではありませんが、一周忌は親族や友人、知人レベルまで呼ぶことが多いといえます。回忌法要は回数を重ねれば重ねるほど参加する人数が少なくなり、範囲も狭くなります。しかし一周忌の場合は「初めての回忌法要」なので、呼ぶ人は多く、またその範囲は広くなります。

服装

喪主やその家族は、葬儀と同様、喪服を着用するのが基本です。喪主とその家族は正喪服を着るのがもっとも正式ですが、一周忌の場合は現実的には準喪服を着用することの方が多いといえます。参列者も準喪服が基本ですが、略喪服であっても構わないと考えられることもあります。

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持っていくものにつける表書き

香典袋には「御仏前」「御佛前」「御香料」と表書きをするのがよいでしょう。葬儀のときは宗教・宗派を問わずに使えた「御霊前」の表記は、四十九日以降に使うことはできません。なお、お供え物を持っていくときは「お供え」などと書いた掛け紙をかけるとよいでしょう。水引は一般的には黒色と白色のものを使いますが、地域によっては黄色と白色のものを使います。

香典の目安

持っていく香典の金額は、10000円~30000円程度が目安です。ただし、故人との関係性や食事の有無(一周忌では特段の事情がない限りは食事がつきますがコロナの影響で省略するご家庭もあります)によっても多少異なります。また、ご家庭や地域差もあります。不安な場合は周囲に相談して決定するとよいでしょう。特に、同じ立場の人とのすり合わせをしておくことが推奨されます。

亡き人を思って行われる「一周忌」は、仏教の追善行事のなかでも特別なものです。亡き人に向き合い、悲しみや痛みを共有し、仏様に親しむこの「一周忌」を大切にしていくことは、非常に大きな意味があります。

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