高齢者8人のうち1人が患うと言われている「認知症」は、私たちにとって非常に身近な病気です。
今回はこの「認知症」を取り上げて、その基礎知識や、認知症になる前・なった後に取れる方法について解説していきます。
認知症とはどういうもの?
認知症とは、なんらかの理由で、認知能力が低下していく病気のことをいいます。またそれに伴い、身の回りのことをする力が衰えたり、言動の面で問題が出てきたりします。
ここでは、
- 認知症の症状
- 認知症の代表的な種類
- 認知症の原因
について解説していきます。
認知症の症状
認知症の症状は多種多様ですが、その代表的なものを紹介していきます。
物忘れ
老化や疲労による物忘れはだれにでもありうることですが、このような物忘れの場合は、「自分が何かを忘れたこと」に対する自覚症状があります。また、「何を食べたか忘れる」「いつ体験したことかを忘れる」ということはあっても、体験したことそのものを忘れることはあまりありません。かつ、ヒントをもらうと、どのようなものであったかを思い出すことが多いといえます。
しかし認知症の場合は、体験したことそのものを忘れたり、ヒントがあっても思い出せなかったりします。また、自覚症状がないのも特徴です。
認識能力の衰え
今日の日付が思い出せなくなったり、使い慣れた道具の使い方が思い出せなくなったり、家の近所の道で迷ったりすることがよくみられるのが認知症の特徴です。
また、出来事の前後関係が分からなくなったり、人の名前や顔や属性を認識できなくなり、時に間違えた認識をしてしまうことがあります(例:孫の顔を見て、息子だと誤認識するなど)。
身のまわりのことができなくなる
私たちが一般的にしていること、たとえば排泄や手洗い、入浴、食事などが上手くできなくなることがよくあるのも、認知症の特徴です。認知症を患っている人のなかには身体的な障がいを抱えている人も多く見られますが、身体的な障がいがなくても、このような状態に陥ることもよくあります。
また、本人は以前と同じように料理をしているつもりでも、味付けが著しくおかしくなるなどの症状が見られることもあります。
判断能力の低下
運転が上手くできなくなったり、お金関係の手続きができなくなったり、人の話を聞いてもそれを理解→判断することが難しくなったりします。
また、ここに加えて、物がなくなったときに「だれかに盗まれた」と誤認識してしまう症状が出た場合、金銭的な被害にあったり、周りの人が大きく疲労したりする可能性が高くなります。
また、認知症によって、気分が塞ぎこんだり、幻聴・幻視が出てきたり、出先で迷子になったりするなどの症状が引き起こされることもあります。
認知症の代表的な種類
一口に「認知症」といっても、その種類はさまざまです。また、種類によって、出てきやすい症状も異なります。
認知症のなかでもっとも多いのは「アルツハイマー型認知症」です。認知症全体の6割~7割を占めるこれの初期症状として、上で挙げた「物忘れ」が挙げられます。また、進行すると、性格が大きく変わったり、徘徊が見られたりするようになります。
アルツハイマー型認知症は、特定のたんぱく質が溜まることで起こるといわれています。
次に多いのは、「血管性認知症」です。血管性認知症は、脳梗塞などによって脳に回る血液が不足したことで発生するもので、高血圧や糖尿病などがリスク要因となりえます。
障害を起こした患部に対応した症状が出るのが特徴で、麻痺や、言葉の問題、感情がコンロトール不能になるなどの症状が見られます。
レビー小体型認知症は、レビー小体と呼ばれるものが脳神経を攻撃~破壊することで起こる認知症です。歩行障害などの初期症状が見られるほか、見えないものが見えるようになったり、うつ病を患ったりすることが多いといえます。
認知症は基本的には治らないものです
認知症は、原因・メカニズムがはっきりしていないところも多く、研究途上にある病気です。そして認知症は、一度なってしまうと基本的には治らないものです。
しかし、認知症の進行を穏やかにする薬を飲むことで、進行を遅らせることができます。
また、周囲の人が積極的にケアやリハビリテーションを働きかけ、本人に生きがいをもたせることも効果的です。
認知症になると火の始末や扱い方が難しくなり、大事故につながりかねない行動も起こしがちになります。しかし「何もさせない状況」にしておくと、認知症はどんどん進行していきます。そのため、家族がしっかり見守るなかで、本人ができること・しようとしていることを取り上げることなく、支援しながら続けさせることが重要です。
認知症になる前に、認知症が軽いときにしておきたいこと
認知症は、多くの場合、少しずつ進みます。しかし離れて暮らしているとなかなか気づきにくいものですし、たとえ気づいたとしてもすぐに動くことはなかなか難しいものです。なぜなら、「頼りにしていた父母が変わっていく」という感覚は子どもにとって大変ショックなものであるため、本人はもちろん、子どももまた認知症であることを否定(あるいは受け入れない)することが非常に多いからです。そして対応をしないうちに、どんどん状況が悪化していくこともよくあります。
そのため、認知症になる前にあるいは軽度のうちに、さまざまな対策を考えておくことが重要です。
後見制度を利用する
まず考えたいのが、「後見制度」です。
これは、判断力が衰える・失われたときに、サポートをしてくれる相手を置く、というものです。
後見制度には、
- 法定後見制度(成年後見制度)
- 任意後見制度
の2つがあります。
任意後見制度は、認知力が失われる「前」に、本人の意志でサポートしてくれる人を選ぶものです。
対して法定後見制度は、判断力が不十分であるときに裁判所がサポートする人を決める制度です。これは、本人のみならず、家族も申請できます。
後見人は、財産を管理することができる立場にあります。また、被後見人にそのなかから一定額を渡したり、不動産の管理を行ったり、確定申告をしたりすることもできるようになります。ちなみに、介護施設との契約などもできるため、その活躍の範囲は多岐にわたります。
ただし強い権限を持つため、被後見人の財産が勝手に扱われないようにと監督人がつけられることがあります。後見人にはだれでも(家族でも)なれますが、この監督人は公平さを保つために、家庭裁判所が選んだ人間が就くことになります。
介護制度や介護施設について調べておく
事前に介護制度や介護施設を調べておくことも大切です。
「家で過ごしたい」と思う人も多いものですが、現実的にこれは困難です。
認知症の患者様を家で看ていくことは、家族の肉体的・精神的な負担が著しく大きいものです。そのため、基本的にはプロの手を借りることが強く推奨されます。
「同居家族の複数名が看護・介護・医療の資格を持っていて、家族親族全員に理解があって主たる介護者が孤立しない環境が作れていて、介護から離れる時間を確保できていて、かつ潤沢な資産がある」などの場合でなければ、家で看続けることは難しいものです。
介護施設は順番待ちの状況になっていることが多いものですが、事前に下調べをして、貯金などをしておくとリスクは減らせます。
「行く末」を考えて互助会なども検討する
認知症は、「死の恐怖から、自身を守るための防衛反応である」とする説もあります。認知症にかかる人はご高齢の方が多く、ご家族のなかには「最後」を意識する人もいることでしょう。
そのようなときのために、互助会に入会しておいたり、理想とする見送り方(見送られ方)を話しておいたりするのも、ひとつの対策です。これは「縁起でもないこと」ではなく、「最後まで自分自身として生きること」「自分の願いや行く末を、自分の意志で決めること」にも繋がります。
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