9月にはお彼岸の時期があります。ご先祖様を思い、お墓や仏壇をお手入れするこの時期を取り上げて、お彼岸の意味や過ごし方、宗派による違いなどを解説していきます。
お彼岸は仏教の考え方から来ているものであり、年によって変わる
お彼岸は、「仏教に根差した行事であり、日本独自のもので、彼岸に至るために善行を積みご先祖様を思う期間のこと」を指します。
現在では「あの世」「死後の世界」という意味で使われている「彼岸」ですが、これはもともとは「仏様のいらっしゃる場所」「悟りを得た世界」を指す言葉でした。
対して、現在は「この世」「生きている人の世界」という意味で使われている「此岸」は、「迷いや煩悩に満ちた、悟りを開いていない者の世界」と捉えられていました。
お彼岸の時期は、この「彼岸」と「此岸」がもっとも近くなる期間であると考えられています。この期間にご先祖様を思い、供養をし、功徳を積むことで、此岸にいる私たちが、悟りの世界である彼岸に近づきやすくなると考えられているのです。
お彼岸は、秋のお彼岸と春のお彼岸があります。秋のお彼岸は秋分の日、春のお彼岸は春分の日を中日に挟んだ前後3日間となるので、年によって多少違いが見られることがあります。ちなみに2026年の秋のお彼岸は、9月20日~9月26日です。
秋分の日・春分の日が、お彼岸の日とされるようになったのは理由があります。
仏教では「西方浄土」という言葉があるように、西のかなたに極楽浄土があるといわれています。秋分の日・春分の日は、真東から登った太陽が、極楽浄土のある真西に沈むことから、「もっとも彼岸と此岸が通じやすくなる日である」と捉えられました。
お彼岸には何をする?
お彼岸のいわれを知ったところで、ここからは「ではお彼岸には何をするのか」について解説していきます。
お彼岸にすることは、主に下記の3つです。
- お墓参り
- 仏壇へのお参り
- 寺院の法要に参加する
それぞれ見ていきましょう。
お墓参り
お彼岸のときにまずするべきこととして、「お墓参り」があります。
お墓参りをする際には、まずお墓の掃除をします。お墓参り当日までに済ませておけば時間に余裕が持てますが、「お墓参りに伺ったときに、家族全員で掃除をする」というかたちでもよいでしょう。
掃除をする際には、
- 雑巾
- スポンジ
- ブラシ
- ゴミ袋
- バケツ
を持っていきます。また、しばらくお手入れをしていなかった場合は、軍手やカマ、ホウキなどを持っていくと便利です。
- 墓石に水をかけて、スポンジやブラシで洗う
- 花立などの細かい部分もスポンジやブラシで洗う
- 文字部分の汚れをブラシでかきだす
- 雑巾で水分をふき取る
- 墓所周りに生えた雑草を抜いたり、刈ったりする
- 墓所を掃き清める
なお現在の墓石は汚れにくく作られていることもあり、基本的には水洗いだけで十分です。汚れがひどい場合は洗剤を使うことも考えてみるとよいでしょう。ただ、墓石によって適している洗剤が違います。購入した石材店が分かればそこに問い合わせるのがベストですが、わからない場合は、目立たない箇所に少し使ってみてから全体に使うようにします。
また、「墓石が傾いている」「明らかに取り切れない汚れがある」という場合は、石材店に手入れを頼みます。
お墓参りをする際には、生花とお供え物、蝋燭や線香を持っていきます。ただしお供え物は、原則的には「お供えして、お参りをした後には下げて持って帰る」という方法をとる必要があります。果物やお菓子は、鳥や虫による害をもたらすからです。
仏壇へのお参り
お墓へのお参りと同じくらい大事なのが、「仏壇へのお参り」です。
仏壇をきれいに掃除をして、お供え物を置きましょう。
仏壇の清掃には、
- ハタキ
- 雑巾
を用意します。
- 仏壇に手を合わせて、掃除をすることを告げる
- 窓を開ける
- 掃除前の写真を撮影する
- 上から下に向かってハタキをかける
- 雑巾で拭き上げる
- 仏具を素材に応じた方法で手入れする
- 3で撮影した写真を見ながら、仏具を元の位置に戻す
- お供え物を置く
雑巾は、基本的には「柔らかく、乾いたもの」を使います。原則濡れ雑巾は使いませんが、汚れが激しくて乾拭きでは落ちないという場合は、かたく絞った濡れ雑巾でその個所のみを拭くことがあります。
なお金箔や金粉が使われた場所は素手で触ると傷んでしまうので注意しましょう。柔らかい手袋を使うとなおよいでしょう。
クリーナーなどを使う際は、必ず専用のものを使います。
お供えは、
- 線香
- 蝋燭
- 果物やお菓子
- 米や水
などが一般的です。
花は花粉が落ちにくいもので香りが強すぎないものがよく選ばれていますが、故人が好きだったお花があればそれを活けてもよいでしょう。
寺院の法要に参加する
現在では簡潔にすますご家庭も増えてきましたが、お彼岸に法要を行うご家庭もあります。
お彼岸に行う法要は、下記の2つに分けられます。
個別で行う法要……ご僧侶を自宅などに招いて行う法要のことです。初彼岸(故人が亡くなって、四十九日が終わった後に初めて迎えるお彼岸のこと)や、節目となる年、信心深いご家庭などに行うことがあるもので、30000円~50000円を目安とした御布施+御車代を包みます。
寺院で行う法要…「合同法要」と呼ばれることもあるものです。これは寺院で執り行われるので、それに参加するかたちをとります。ほかのご家庭と一緒に法要に参加するため、御布施は、3000円~10000円程度です。
お彼岸の法要に参列する際には、平服でかまいません。喪服は着ず、灰色や黒色のスーツ・ワンピースで参加します。
- 墓参り(と墓掃除)
- 仏壇にお参りする(と仏壇の手入れ)
- 法要
が、お彼岸で主に行うことです。ただお彼岸に関しての捉え方はご家庭・地域によって違いがあります。そのため、「親族などには声を掛けず、お墓に近いところに住む人が一人でお墓のお手入れをして終わり」「お盆の時期は仕事柄忙しいため、お彼岸の時期に親族で集まる」「墓守や仏壇を守ってくれている人のところに挨拶に伺う」というケースもあります。
お彼岸に関するよくあるQ&A
最後に、お彼岸に関するよくある質問に答えていきます。
お彼岸に宗教・宗派の違いはある?
お彼岸は仏教の儀式。浄土真宗は解釈が異なる
お彼岸は仏教の儀式であるため、神道やキリスト教ではみられません。なお在来仏教のなかでも、浄土真宗はお彼岸を「追善供養の日」とは捉えず、阿弥陀如来の教えに触れて自分を見直す期間としてとらえます。
お彼岸のときに供えるのは?
果物や花、お菓子など
お彼岸のときにお供えするものとして、「果物」「花」「お菓子」があります。また、お彼岸の時期にはあんこを使ったお餅をお供えするのですが、同じものでも、秋は「おはぎ(『萩』から)」、春はぼたもち(『牡丹』から)と呼ぶという違いがあります。
日程の都合がつかない……
時期が少し外れても問題ない
「お彼岸の時期にお墓の掃除をしたいが、その期間は出張中で難しい」などの場合は、お彼岸の前の週などにお手入れしてもかまいません。人と集まる予定がある場合でも、「お彼岸期間中に必ず会わなければならない」ということはありません。
なお、お彼岸期間中に結婚式などの慶事があった場合も、参加して構いません。
お彼岸は、厳密な決まりがあるものではありません。ただご先祖様に向き合い、ご先祖様を偲ぶための時間ととらえるとよいでしょう。
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