生前贈与がお得になったって本当?令和6年の改正を見る

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財産の分配方法のひとつとして、「生前贈与」があります。
この生前贈与は古くからある考え方で、1947年には贈与税も創設されました。
ただこの生前贈与および贈与税の考え方は、2024年(令和6年)に大きな見直しが行われました。
今回は、「生前贈与の基礎」「2024年の改正について」「生前贈与の利用方法」について解説していきます。

まずは知っておきたい「生前贈与」の話

まず、生前贈与の基礎知識から紹介していきます。

生前贈与とは、その名前の通り、「生前に自分の財産を他の人に渡せる制度」のことをいいます。亡くなった後に引き継ぐことになる「相続」とは、この点でまず異なります。

さて、この生前贈与には

  • 相続時精算課税制度
  • 暦年課税制度

の2種類があります。
それぞれの違いについて見ていきましょう。

相続時精算課税制度とは、「60歳以上の父母もしくは祖父母が、18歳以上の子どもや孫に対してのみ、生前に贈与できる制度」を指します。
詳しくは後述しますが、年間110万円までの贈与ならば贈与税がかかりません。また、累計2500万円までは贈与税が非課税となります(それを超えると一律20パーセントの課税)。
また、年間110万円を超える部分に関しては、相続財産に加算されます。
暦年課税制度よりも税制面で優遇されているのがこの相続時精算課税制度ですが、一度選択すると暦年課税制度には戻れません。また、暦年課税制度とは異なり、引き継げる相手には制限があります。

暦年課税制度とは、生前贈与のかたちのうちのひとつで、その最大の特徴は、「だれにでも渡せる」という点が挙げられます。
相続は基本的には法定相続人(配偶者、子どもなどの直系卑属、親などの直系尊属、条件付きで兄弟姉妹や甥姪)に引き継がれることになります。たとえ遺言書に法定相続人以外に全財産を譲ると書いたとしても、法定相続人は遺留分を請求することができます。
また、相続時精算課税制度も、「60歳以上の祖父母または父母が、18歳以上の子どもまたは孫」に対してのみしか適応されないという特徴があります。
対して暦年贈与の場合は、法定相続人だけではなく、まったくの他人にも渡すことができます。たとえば、「諸々の事情で結婚できない恋人」「親友」などに渡すことも可能です。
基礎控除額は年間110万円です。これを超えると、10%~55%の贈与税(※累進課税方式)が科せられます。また、これも詳しくは後述しますが、相続開始前7年以内の贈与に関しては、相続財産に加算されることになりました

暦年課税制度は、「自由度」という意味では相続時精算課税制度よりも有利です。また、非常に高額の贈与を長期間に渡って贈与し続ける場合は相続時精算課税制度よりもかかる贈与税が安くなるケースもあります。
ただ、基本的には暦年課税制度の場合は、贈与税の観点から見ると、相続時精算課税制度よりも不利に働くことが多いといえます。

2024年の改正で、一定条件で生前贈与にかかる加算期間などが変更された

さて、この生前贈与ですが、2024年に制度が見直されました。
どの点がどのように変わったのかを見ていきましょう。

相続時精算課税制度に、毎年110万円の基礎控除額が設けられた

2024年の改正でもっとも大きい変更点は、「相続時精算課税制度において、毎年110万円の基礎控除額が設けられた」という点です。
かつては「毎年110万円の基礎控除額」は暦年課税制度にのみ設けられていた制度であり、相続時精算課税制度には適用されていませんでした。相続時精算課税制度で利用できる控除は、「最大で2500万円」というもののみでした。

つまり、例として、年間100万円ずつを30年に渡って贈与する場合、

  • 暦年課税制度→年間の基礎控除額以下×30年なので、贈与税はかからない
  • 相続時精算課税制度→合計3000万円の贈与となるので、3000万円−基礎控除額2500万円=500万円の「500万円」には贈与税がかかる

という状態だったのです。
しかし2024年の法改正で相続時精算課税制度にも年間110万円までの基礎控除が設けられたので、「100万円ずつ40年に渡って贈与された場合」は、相続時精算課税制度でも贈与税がかからなくなりました。
しかもこの「毎年の基礎控除」は、もともとあった2500万円の控除額とは別に計算されます。
そのため、「2026年に2300万円を渡し、その後30年かけて毎年100万円ずつ渡した」という場合は、累計額は5300万円となるものの、贈与税の課税対象とはなりません。

亡くなる7年前以内に渡された財産は相続税に加算されるようになった

もう1つ大きな変更点は、「暦年課税制度においては、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されていたのが、相続開始前7年以内の贈与にまで及ぶようになった」ということです。

生前贈与は相続税の軽減に役立つものですが、この方法が悪用されてしまうと、「亡くなる直前に家族に財産を渡して、相続税の支払いを免れる」というやり方が通用してしまいます。
そのため法律では、「相続開始の3年以内に行われた贈与は、相続財産として計算する」と定められていました。つまり、2023年の8月9日から相続が開始された場合、2020年の8月9日~2023年の8月9日までに引き継いだ財産は、たとえ基礎控除額以下であっても相続税の課税対象となっていたわけです。
2024年の法改正では、さらにこれが「7年」に延期されました。
たとえば2038年の8月9日に相続が開始された場合、2031年の8月9日~2038年の8月9日までに引き継いだ財産が、相続税の課税対象になるとされたのです。
※ただし2030年までは移行期間とされる
対して、相続税精算課税制度の場合は、このような計算はなされません。年間110万円を超えた部分のみ、相続税に加算されます。

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生前贈与、どんなときに利用する?

生前贈与は、相続税が重くなりそうなときに使える制度です。相続時には基礎控除として、「3000万円+600万円×法定相続人の数」の計算式が適用されるため、これ以下の場合は相続税は課せられませんが、それよりも財産が多くなりそうな場合は生前贈与を使うことを検討するべきです。

生前贈与のなかでも、相続税精算課税制度は2024年の法改正で非常に使いやすくなった制度だといえます。年間110万円までならば基礎控除として認められるようになりましたし、「相続開始〇年以内に引き継いだ財産は、相続税の課税対象となる」という制度もありません。

対して暦年課税制度は、2024年の法改正において、「相続開始3年以内に引き継いだ財産は、相続税の対象とする」とされていたのが「7年以内」とされ、基本的には不利なものとなりました。
しかし相続税精算課税制度が60歳以上の祖父母もしくは父母から18歳以上の孫もしくは子どもに対しての贈与のみにしか使えないものであるのに対し、暦年課税制度は「どんな立場、関係性、年齢であっても使える」というアドバンテージがあります。
そのため、どちらを選ぶかは慎重に検討するべきです。

なお、

  • 教育
  • 結婚~出産~子育て
  • 住宅取得

などに関する贈与は特例とされ、非課税となる制度がありました。ただこれらの制度は順次廃止されていく見込みです。

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