8月にやってくる「お盆」は、ご先祖様をお迎えする期間です。仏教の行事であり、仏教を信仰する人にとっては非常になじみ深いものでもあります。この「お盆」のなかでも特に重要視される「初盆(新盆)」について、意味・準備・流れなどを詳しく解説していきます。
※お盆は、地域によっては7月あるいは9月に行われることもありますが、全国的に見ると8月のお盆が主流です。本記事では、特別な事情がない限り「お盆=8月」としてご説明します。
初盆(新盆)とは?
お盆は「亡くなったご先祖様をお迎えするための期間」であり、仏壇やお墓を掃除し、迎え火を焚くなどの準備をして、故人やご先祖を供養する行事です。なかでも「初盆(はつぼん/ういぼん)」「新盆(にいぼん/あらぼん)」と呼ばれるものは、故人が亡くなってから四十九日を過ぎて初めて迎えるお盆のことを指します。
たとえば、2022年4月にご家族が亡くなった場合、初盆(新盆)は2022年8月になります。また、2022年12月に亡くなった場合は、翌年2023年8月が初盆(新盆)にあたります。
ただし、故人が亡くなった時期によっては、その年のお盆が「四十九日法要の前に来る」ことがあります。たとえば2022年7月13日に亡くなった場合、四十九日は8月31日になりますので、初盆は翌年2023年8月となります。
このような「四十九日とお盆が重なる・近接する」ケースでは、以下のような選択肢があります。
- 初盆(新盆)を翌年にまわす
- 初盆(新盆)と四十九日法要を一緒に行う
どちらを選んでも問題はありません。ご家族や菩提寺と相談して最適な形を選びましょう。
初盆(新盆)と他のお盆との違い
一般的なお盆とは異なり、初盆(新盆)には特有の準備や儀式が伴います。以下の5つが主な違いです。
1. 法事・法要を伴う
通常のお盆でも法要を行う家庭はありますが、初盆(新盆)はほとんどのケースで僧侶を招いて法事・法要を行います。これは、初めてご先祖様の仲間入りをする故人を手厚く迎えるという意味合いがあるためです。
2. 納骨式を行うケースも多い
納骨のタイミングに明確な決まりはありませんが、四十九日で納骨しなかった場合、初盆(新盆)や一周忌のタイミングで納骨を行うことが多いです。初盆はそうした節目にもなり得ます。
3. 呼ぶ人の範囲が広い
通常のお盆では親族だけで過ごすことが一般的ですが、初盆(新盆)は故人と親しかった友人・知人も招かれることが多いです。そのため、招待状の準備や食事手配なども含め、より丁寧な準備が求められます。
4. 服装が正式になる
通常のお盆では普段着や黒系の平服で済ませる家庭もありますが、初盆(新盆)では基本的に礼服(喪服)などの正式な装いが推奨されます。
5. 使用する道具が異なる(白提灯など)
お盆にはご先祖様が迷わず帰ってこられるよう、提灯(ちょうちん)を飾る習慣があります。初盆(新盆)では「白紋天(はくもんてん)」と呼ばれる白い提灯を用意するのが通例です。これは、故人が初めて帰ってくることを意味し、清らかで特別なものとされています。
初盆(新盆)の流れと準備チェックリスト
ここからは、初盆(新盆)をどのように準備・進行していくのか、一般的な流れに沿って説明します。
事前準備
ご僧侶様とのスケジュール調整
お盆の時期は僧侶のスケジュールが埋まりやすいため、早めに読経をお願いする日を確保しておきましょう。
案内の送付
親族や友人を招く場合は、1か月前を目安に案内状や電話連絡を行います。人数が多い場合は返信用ハガキを同封することもあります。
会場・食事・引き出物の準備
会場が自宅でない場合は法要会館などの予約を行い、食事の手配や引き出物・返礼品も事前に用意しておきます。
お迎えの準備
8月13日午前中には、精霊馬や仏具の準備、仏壇の掃除などを行い、迎え火や白提灯を飾って故人をお迎えします。
当日の流れ
- 法事・法要(読経)
- お墓参り(納骨式を行う場合もこのタイミング)
- 会食(会場や料亭、自宅での食事)
多くの家庭では、法要→お墓参り→会食という流れで進められます。
お送り(8月15日)
15日には送り火を焚いたり、精霊牛を使って故人をお見送りします。
この際、使用した白提灯(白紋天)を焼く習わしもあります。
よくある質問(Q&A)
初盆(新盆)の費用はどのくらい?
地域差はありますが、僧侶へのお布施(3万~5万円前後)、会食代、返礼品などを含めて10万~30万円ほどかかることが一般的です。
初盆(新盆)を自宅以外で行ってもいい?
問題ありません。会場や法要会館を利用することで、広さや準備負担の軽減にもつながります。
白提灯はいつ・どこで購入すればいい?
仏具店やネットショップで6月~7月頃から販売されます。地域の慣習やお寺の指定がある場合もあるため、早めに確認を。
初盆(新盆)は丁寧な準備で心のこもった供養を
初盆(新盆)は、故人が初めてご先祖様としてお迎えされる、非常に特別な行事です。通常のお盆と異なり、法要・白提灯・服装・招待範囲など、多くの準備が求められます。
大切なのは形式だけではなく、故人を思い、心を込めて迎え、送り出すという姿勢です。
ご家族やお寺としっかり相談し、後悔のない初盆(新盆)を迎えましょう。
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