現代と昔では、葬儀の方法も埋葬方法(※実際には「埋める」以外の手段になるものもありますが、ここでは便宜上、「ご遺骨の処理方法」として「埋葬方法」という表現方法を使います)があります。
今回はそのなかから、「宇宙葬」と「ダイヤモンド葬」を取り上げます。
憧れの月で眠る、「宇宙葬」とは
宇宙葬とは、故人のご遺骨を収めたカプセルを、宇宙空間に打ち上げるという散骨方法のことをいいます。広い意味では、樹木葬や海洋葬などの自然葬のうちの一種だといえるでしょう。
「どこの位置まで打ち上げるか」は、業者によって異なります。宇宙空間と大気圏のちょうど境目まで持って行くというプロジェクトもありますし、月面調査車を使って月面まで届けるやり方もあります。
いずれの方法であっても、「雄大な宇宙で眠れる」「生きているときには手が届かなかった星空に旅立てる」という大きなロマンがあります。このロマンは、宇宙葬以外のほかの手段では代わることができません。特に子どものころに宇宙飛行士に憧れた人にとっては、この方法はもっとも理想的な埋葬方法となるでしょう。
ただし、宇宙葬の場合、ほかの方法とは異なり一部分だけの散骨となるため結局ほかのご遺骨は手元に残ることになります。これは、樹木葬や海洋葬(一部のご遺骨を残すことはできるが、基本的には全納骨)などの自然葬と大きく違うところです。そのため、宇宙葬を選んだ場合、残されたご遺骨をどうするかを改めて考えなければなりません。
ほかの埋葬方法に比べてあまりにも高額であることも問題です。安いプランでも50万円以上、一般的なラインは100万円程度、場合によっては1500万円を超えることもあります。そのため、利用できる人は非常に限られてきます。
さらに、宇宙葬の場合、その黎明期から、提案→中止→提案→受付停止→提案……と何度も繰り返していて、かなり不安根地な手法です。動くお金も大きいので、宇宙葬を希望するのであれば、事前の入念なリサーチが必要不可欠です。
一緒にいろいろなところへ~ダイヤモンド葬
ダイヤモンド葬とは、故人のご遺骨(や髪の毛、ご遺灰)をダイヤモンドとし、それを使ったアクセサリーを作ることをいいます。「遺骨ダイヤモンド葬」「メモリアルジュエリー」の名前で呼ばれることもあります。なおメモリアルジュエリーには、「ご遺骨を小さな筒状の入れ物に入れて、ペンダントにする」というやり方もありますが、ここでは「ご遺骨をダイヤモンドに加工して、それをアクセサリーにする方法」のみを取り挙げていきます。
ダイヤモンド葬のダイヤモンドは、ご遺骨の中から取り出される炭素を使って作り出すものです。この炭素に高い熱と高い圧力を加えて、人工ダイヤモンドを作っていくわけです。かつての遺骨ダイヤモンドは品質がそれほどよくありませんでしたが、現在は品質が高いものも多く、カラーバリエーションも豊富です。
ダイヤモンド葬のもっとも大きなメリットは、「アクセサリーにすることで、いろいろな旅行先に連れていける」ということです。たとえば、故人の好きだった山にこのジュエリーをつけて上ったり、子どもや孫の結婚式に連れていくこともできます。日常生活でも身に付けられるものですから、故人をずっと身近に感じられるのが、ダイヤモンド葬の大きな魅力です。「生きていたときも、亡くなった後も、ずっと一緒」ができるのです。
なおこのダイヤモンド葬の考え方や技術は実はかなり昔からありましたが、以前に比べて現在のものはデザイン性が非常に高くなっています。ご遺骨から作られるダイヤモンドではありますが、言われなければまったく気づかず、言われてからじっくり見てもご遺骨ダイヤモンドだとはまず気づかないでしょう。そのため、「身に着けたいけれど、周りの人に気づかれて気を使われるのは嫌」という人も安心です。
デメリットは、価格差が大きいため下調べが必須であることです。
「ダイヤモンド葬」と一口に言ってもその値段はさまざまで、10万円台で作ることができる業者もあれば、50万円程度かかるところ、場合によっては100万、さらにサイズなどにこだわると300万円を超えることすらあります。ボリュームゾーンは50万円~70万円程度でしょう。
使われるご遺骨の量は、業者やプランによって異なります。ほぼご遺骨全量を使って作るケースもあれば、少なくない量のご遺骨が手元に残るケースもあります。前者の場合は従来型の埋葬は必要なくなりますが、後者の場合は別に埋葬場所を確保する必要があります。
- 値段
- 仕上がり
- 使う遺骨の量
によってダイヤモンド葬の状況は大きく異なるので、依頼前に複数の業者のホームページを比較検討するのがよいでしょう。
互助会で備えておけば、お墓に関する相談もできる
宇宙葬もダイヤモンド葬も「葬」とはついていますが、ご遺骨の処理方法であるため、一般的な「葬儀」とは基本的な性質が異なります。宇宙葬・ダイヤモンド葬と比較して語るべきは、樹木葬であり海洋葬であり、従来型の墓地であり、合葬墓や永代供養墓であり、納骨堂です。
ただ、人が亡くなったときにお金がかかるのは、埋葬のときだけではありません。当然葬儀のときにも費用がかかります。(さまざまな賛否はあるものの)一般的に葬儀にかかる費用は1509万円程度だとされています。ここにさらに、上で挙げた「埋葬方法」の費用が重なるわけです。
人が亡くなると少なくないお金が動くことになるため、事前にしっかり計画を立てておくことが必要です。
そしてそのうちの方法の一つとして、「互助会への参加」があります。互助会は毎月少しずつお金を出し合い、来る葬儀に備えるという仕組みです(葬儀以外の冠婚葬祭にも使えます)。互助会に加入していると、していないときと比べて費用面で優遇されるというメリットもあります。
ただ、互助会への加入のもっとも大きなメリットは、「葬儀や埋葬方法に関する相談もできる」「葬儀の費用を互助会で積み立てておくことで、遺産をお墓や墓地の費用に回せる」点でしょう。
葬儀や埋葬は、多くの人にとって初めての経験です。特に自分が喪主になったり、先祖代々のお墓がない(あるいは荒れていて使えない、場所が分からない、信じる宗教が異なる、故人の意志など)といった場合は、困惑や混乱もより深くなるでしょう。
しかし互助会に加入しておけば、これらの悩みもある程度解消できます。互助会のプロのスタッフに、「葬儀のことで相談にのってもらいたい」「埋葬方法にわからない部分がある」と相談すれば、きちんと答えてくれます。
人間は、「お金を貯めておこう」と考えても、手元にお金があるとついつい使ってしまうものです。しかし互助会という方法で(いつでも解約はできるものの、ある程度強制力がある手段で)毎月お金を貯めておけば、「いざ、そのとき」になったときも、「お金がない!」と慌てる必要もありません。もちろん互助会で積み立てた金額だけで葬儀などを完了するのは難しいといえますが、それでも経済的に大きな助けになることはたしかです。余裕が出た分は、埋葬方法を選ぶときに利用します。
宇宙葬やダイヤモンド葬は、人の憧れと想いを詰め込んだ埋葬方法です。ただ費用もかかるものですから、事前に下調べや意思表示はしっかりしておきたいものです。なお、「お金がかかることであるから、事前に葬儀~埋葬の費用を積み立てたい」という人は、互助会制度をぜひご利用ください。
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