【非嫡出子の相続】相続分が減額する5つの方法

SHARE

Pocket

相続の問題には、様々なものがあります。被相続人が所有していた家などの建物や土地の分け方がわからない、遺言書や贈与によって財産分与が不公平になってしまった、相続の税金問題など、相続をする際に浮上してくる問題というのは本当に多いです。その問題の一つに、非嫡出子の相続があります。

今回は、非嫡出子には相続権があるのか、相続ができる場合その相続割合はどれくらいなのか。そしてなるべく非嫡出子には相続させたくないという方に、非嫡出子が相続できなくなる・相続分が減額する5つの方法をご説明していきます。

非嫡出子と嫡出子の相続割合は同じ!

そもそも非嫡出子と嫡出子の違いは何なのでしょうか。非嫡出子の相続について考える前に、それらの定義をご紹介します。

嫡出子とは、夫婦の間に生まれた子供のことを指します。夫婦とは、法律上の婚姻関係にある男女のことですが、主に嫡出子は、

  • 婚姻中に妊娠した子供
  • 婚姻が成立した日から200日後に生まれた子供
  • 婚姻の解消、取り消しの日から300日以内に生まれた子供
  • 婚姻以前に出産、認知をされてその後に父母が婚姻した子供
  • 婚姻以前に出産、その後に父母が婚姻し、父が認知した子供
  • 養子縁組をした子供

上記の条件で誕生した子供のことを意味します。反対に非嫡出子とは、夫婦ではない男女、つまり法律上の婚姻関係にない男女の間から生まれた子供のことを指します。民法の条文では非嫡出子とされておらず、「嫡出でない子」と表記されています。

本題である非嫡出子の相続ですが、法律上婚姻関係にない男女の間から生まれた非嫡出子にも相続権はあります。相続割合は、嫡出子と同等の割合で法定相続分を受け継ぐことができます。

この割合は、平成25年に民法の一部が改正されてからのものです。それ以前にも非嫡出子には相続権がありましたが、法定相続分は嫡出子に比べて少なく、嫡出子の1/2の割合でした。

非嫡出子が相続できなくなる・相続分が減額する5つの方法

非嫡出子と日頃から面識があるなど、非嫡出子の人柄や生活態度を知っていれば相続をさせたくないと思うことはあまりないかもしれません。しかし相続の際にまったく面識のない非嫡出子がいきなり現れることも珍しくはないのです。相続の際には、財産の総額や相続人の調査が行われるので、法定相続人の存在は必ず明らかになります。ここでは、非嫡出子に相続させないための方法をご紹介します。

遺言書で相続分が減額

被相続人が相続させる相手や金額などを決める方法として、遺言書を書く方法があります。遺言書は亡くなった人の意思を尊重するためのものであり、相続人や財産の分割などは最大限考慮されるようになっています。被相続人が、配偶者や嫡出子にのみ財産を相続するよう遺言書を書く場合も当然あります。そのような内容を遺言書に書けば非嫡出子には相続されないと考える人もいます。

しかし残念ながらこの方法は非嫡出子に確実に相続させないための方法ではありません。相続には法律で遺留分というものが定められており、遺言書には遺留分を侵害することができないからです。遺言書に書き残しても、遺留分以下の財産贈与は法律で認められていません。

被相続人が配偶者や嫡出子に相続するよう遺言書に書いたとしても、遺留分により非嫡出子は1/2の相続分を相続することができます。この場合、嫡出子の遺留分も1/2で同額です。

そもそも遺留分とは、相続をする際に法律上で確保されている最低限の財産であり権利でもあります。相続には遺言書や贈与などで、法定相続人に十分な財産が残されない場合もあります。そうなったときに主張できるのが、遺留分という権利なのです。しかし遺言書で非嫡出子の相続分を減額させることはできるので遺言書に書き残す、この方法は有効手段でもあります。

生前贈与で相続分を減額

生前贈与は嫡出子の利得が最大限になる可能性が高い、最も現実的な方法です。生前贈与をすることで相続財産をあらかじめ贈与できるため、被相続人が亡くなった後の財産分割がスムーズに行われたり非嫡出子が突然現れてトラブルになったりする心配も少なくなります。

一般的に相続は、被相続人の死後に行われるものと考えられています。しかし生きているうちから相続させることもできます。それが「生前贈与」です。相続される財産というのは、亡くなったときに保有していたお金などの財産ですが、生前贈与では生きている間にできるだけ財産を分割することができます。これにより、非嫡出子の相続分を減額することができるのです。

注意しなければいけない点は、相続を行う際の税金問題です。一般的な相続の場合でも、財産の総額が大きいと相続税がかかりますよね。生前贈与の場合でも税金問題は切っても切れない問題です。生前贈与には税金に関する2つの制度があります。

一般贈与で毎年贈与

一般贈与は生前贈与に関する税金制度の一つです。この制度では、贈与した金額によって贈与税が課税され、1年間に贈与した金額が110万円未満であれば非課税となります。受け取った相続人一人あたりの金額なので、2人以上から贈与される場合にはその金額が超えないよう注意が必要です。もう一つの制度が以下にご説明する、「相続時精算課税制度」です。

相続時精算課税制度で生前贈与

一般贈与が贈与税を納めるのに対して、相続時精算課税制度では一般の相続と同様に相続税を納めます。この制度は、「1人あたり2500万円」までの控除があるため、この金額以下の贈与額であれば相続税は課税されません。さらに相続税がかからない場合は、生前贈与に関わる税金を全て省くことができるので非常に便利です。

原則として、この制度は「60歳以上の父母または祖母から、20歳以上の子や孫に対して贈与する」場合にのみ適応されます。また、一般贈与と相続時精算課税制度は併用できないので、相続財産に応じて、どちらの制度の方が負担を減らせるのか事前に計算するようにしましょう。

相続廃除で相続できなくなる

相続権を廃除されるケースは限定されていますが、自分の推定相続人がそのケースに当てはまっていないか確認してみてください。

相続廃除とは、相続する財産を継承させたくない相手の相続権を奪う制度です。当然奪う相手は相続人であるのが条件ですが、これを有効にすれば相続人の相続権を強制的に喪失させることができます。相続廃除をする相手が推定相続人(相続開始時に相続権があるであろうとされる人物)であることはもちろん、その他にもこの制度を有効化するための条件がいくつか存在します。

  • 被相続人に対して一方的な加虐行為や侮辱行為を加える
  • 違法行為など、相続人に明らかな非行がある

上記のような要件に該当する人物であれば、相続権を廃除できる可能性があります。具体的には暴力をふるったり金銭の問題に巻き込んだりなど、被相続人の精神や財産などに直接的な害を及ぼす行為であることが重要です。

相続廃除をするためには、被相続人が生前に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。生前に申し立てができない場合は、相続廃除について遺言書に書き残しておきましょう。この方法では被相続人の代わりに、遺言執行者によって家庭裁判所へ申し立てを行います。

家庭裁判所の審判によって相続廃除が確定されると、戸籍の身分事項に相続人廃除の記載がされ、手続きが完了したことになります。相続廃除が行われると当然相続権はなくなり、さらに相続人が最低限得られる相続分の遺留分を請求する権利も失われます。

認知しないことで相続できなくなる

次の方法は認知をしないという方法です。非嫡出子は先述した通り、婚姻関係にない男女、つまり結婚していない男女間の子供を意味します。母親には当然お腹を痛めて産んだという事実が存在しますが、父親の場合は父と子供が親子関係にあるという事実が明らかではありません。

そのような子供は認知されていない子供として扱われます。非嫡出子であるということを証明するには、父親である人物の認知が必要になるわけです。認知とは、父が子供を自分の実子だと認める意思表示のことです。認知した際に父母となる人物が婚姻していればその子供は嫡出子になり、婚姻関係にない場合は非嫡出子になります。

たとえ実の子であったとしても、父親に認知を受けなければ法律上の子供として扱われないのです。一方認知をすることで、父と子供の間には相互扶養関係や相続権、親権などが発生します。

相続の話に戻りますが、認知していない子供や愛人の隠し子には財産を相続する権利がありません。認知されていれば法律上で親子関係が生じていることがわかりますが、認知されていない場合では被相続人との関係を法的に明らかにすることが不可能だからです。非嫡出子として認知する以前にそもそも認知をしなければ、財産を相続させなくて済みます。

認知するために認知届を提出

ここでは子供を認知するための方法をご紹介します。認知されていない子供に相続をさせるには、当然事前に認知しておく必要があります。認知の方法には、主に「任意認知」と「強制認知」がありますが、ここでは「任意認知」する場合の認知届の提出についてご説明します。

任意認知は、父親自身が自らの意思で認知されていない子供を実子であると認めることです。認知するには、父親もしくは子供どちらかの本籍地、または住所地の市役所に父親自身が認知届を提出します。任意認知は基本的に母親や子供の同意が不要ですので、認知届を提出するだけで手続きは完了です。

しかし胎児認知の場合は母親、子供が成人している場合は子供本人の同意が必要になります。

相続放棄をしてもらう

法定相続人に相続権を放棄してもらう方法です。相続権は強制ではないので、あくまでも権利を行使するかどうかは相続人本人が自由に決めることができます。また、法定相続人には相続を放棄する権利もあるので、非嫡出子に権利を放棄させれば相続させる必要はなくなります。その場合、遺留分を含めたすべての相続を放棄することになり、非嫡出子の相続分は完全になくなってしまいます。

しかし実際にはプラスになる相続財産よりも多い負債を抱えている被相続人というのもいるのです。被相続人が借金などの負債を抱えていた場合、相続人は財産と借金どちらも受け継ぐことになります。負債が大きいほど、せっかく受け継いだ財産を返済に充てなくてはいけなくなりますし、それだけでは返済しきれない借金を背負うことにもなりかねません。

そこで法律上、相続が開始したことを知ったとき及び自分が相続人になったことを知ったときから3ヶ月以内であれば、家庭裁判所に相続放棄の申し立てをすることによって、はじめから相続人ではなかったことにしてもらえるのです。

この他にも、家族の仲が悪く関わり合いたくない、相続財産が少ないなど、何らかの事情があって相続を放棄するケースがあります。

ここで注意しなければならないのは、相続権は強制的に放棄させることはできないということです。ですので、非嫡出子に相続を放棄させたい場合は、直接本人に頼んで放棄してもらうしかありません。相続放棄には特定の条件などが指定されておらず、基本的には誰でも行えますが、あくまでも放棄するかどうかは本人の意思によって決定されるのです。

まとめ:非嫡出子の相続で知っておくべきこと

非嫡出子の相続問題で民法が改正されたように、法律は平等であることを重要視しています。そのため現代で確実に非嫡出子に相続させないようにする方法は決して多くありません。今回ご紹介した方法が当てはまるようなケースであれば、戦うための知識としてきちんと頭に入れておく必要があるでしょう。

贈儀計画コラムでは、人生の儀式における皆さまの悩みをサポート致します。

葬儀・介護・相続・お墓・結婚などそれぞれの課題を、情勢に合わせ専門のサポートスタッフがいつでもご相談を承ります。まずはお気軽にご相談ください。

 

冠婚葬祭セリエンス(贈儀計画コラム運営企業)

電話番号:0120-34-5183 受付時間:9:00-17:00
インターネットでのお問い合わせは24時間承っております。

インターネットでのお問合せはこちら

PAGE TOP